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column 2022.9.15
 
 
松の湯 復活プロジェクト!銭湯を軸にしたコミュニティビル
E.N.N./金沢R不動産
 

金沢のまちなかで長年親しまれてきた銭湯の復活プロジェクト。銭湯を軸に、コワーキングスペース・カフェや住居等が一体となった、新たなコミュニティスペースが長町に来冬誕生します。ビジネスフロアや、レジデンスフロアは金沢R不動産で現在入居者募集中です!

立派な建物ほど、残りにくいから

戦後間もない1948年に創業した、長町の銭湯「松の湯」。ご家族で営む中、店主の急逝で2020年3月に72年の歴史に幕を下ろされました。まちなかに残る数少ない銭湯の一つだったこともあり、近隣住人や常連からは惜しむ声が(うちのスタッフもお世話になってました…)。中には「松の湯がなくなってから、30分かけて最寄りの銭湯まで歩いて行っている」という方も。

観光地・長町武家屋敷からもほど近い「松の湯」

解体前の「松の湯」の様子

建物はその後どうなるのだろう…気にかけていると「来冬、“松の湯”が復活する」と、なんとも喜ばしいニュースが聞こえてくるではありませんか!
今回はその運営メンバーの皆さんにお話をうかがってきました。

「銭湯文化」を持続可能なものにするために

「エイジェーインターブリッジ」代表・新木弘明さん

今回の運営元「エイジェーインターブリッジ」は、京都や金沢をはじめ、全国で町家の改修や宿の運営を手がける企業。代表の新木さんは16歳から海外で過ごし、日本文化を「外から見る」という経験を通して「僕らにとって当たり前にあるものが、他にはない、もの凄い“資産”なんだと気付かされた」と話します。

「町家や銭湯文化はその最たるものの一つです。けれど、ご存知の通り銭湯は年々減少しています。だからこそ、この物件を見た時に『あぁ、銭湯を復活させたい』と率直に思いました。もちろん、これらを残していくためには“ビジネス”も入れていく必要がある。地域で培ってきた財産を次の時代に引き継いでいくためにも、ここを一つのモデルケースにできないかと考えました」

「『風呂上がりの牛乳』のような、日本人には当たり前の慣習も、外からは『やってみたい』という憧れの対象だったりします」と新木さん。(写真は解体前の松の湯にて)

公衆浴場営業許可取得への険しい道のり

しかし、「銭湯復活」に向けて動き出すやいなや、すぐさま壁が立ちはだかります。
民間企業が営利目的で行う銭湯事業とは異なり、公共性の高い「普通公衆浴場」を運営するためには、行政からの営業許可が必須なのだとか。現在、普通公衆浴場は減少の一途を辿っており、さらに一度銭湯を廃業した場所で、新たな事業者が「公衆浴場の営業許可を取り直す」ということは金沢市では例がないことだったそう。

そのため今回のプロジェクトも、「前例がない」として当初許可が下りず。それでも諦めずに様々な関係機関を訪ね歩き、住人や地域の人の声をヒアリングし、理解と協力を仰ぎながら許可を得るために何度もトライを重ねました。

解体前の「松の湯」にて

「結局4ヶ月くらい、ずっと粘っていましたね。それくらい『銭湯を再生する』ということが、このプロジェクトの“要”だったんです。僕らにとっても銭湯を手がけるなんて初めてのことでしたし、諦めて『テナントにする』という常套手段もあったわけですけど、そうじゃないだろうと。銭湯を運営する方が圧倒的に手間はかかるけれど、その方が圧倒的に意義があると思っていたので」とエイジェーインターブリッジの山家さんは当時を振り返ります。

「エイジェーインターブリッジ」副社長の山家茂さん。

銭湯を軸に、あらゆる属性が交わるように

銭湯完成後に “番頭さん”ことコミュニティ・マネージャーを務めるのは、元々はこの物件の不動産仲介を担当した神並大輝さん。山家さんと共に営業許可取得に向けてに奔走し、「県の浴場組合 組合長が同級生のお父さんだった」というウルトラCなご縁で、突破口を開く手がかりを作った当人でもあります。

銭湯のコミュニティーマネージャーを担当する神並大輝さん。年末の銭湯開業に向けて、現在市内銭湯で修行中。

「自分が銭湯を運営することになるとは、全く想像してませんでした」と笑う神並さん。「当初僕の役目は物件を仲介したら終わりだと思っていたんです。でも新木さんや山家さんと一緒に仕事をする中で、このプロジェクトに対する熱量がすごく伝わってきて、いつしか『この人たちと一緒に仕事がしてみたい』と思っている自分がいました。番頭としてのお誘いは突然で驚きましたけど、迷いは一切ありませんでしたね。運営は片手間ではできませんから、銭湯事業に集中できるように会社を辞めて独立する決意をました」

そして銭湯には個人的な思い入れもあるのだと神並さんは話します。
「僕、じいちゃんとよく銭湯に行ってたんです。普段一緒に家にいてもなかなか話せないけれど、銭湯で背中を流してる間や、その行き帰りは自然と話せる。僕にとって、銭湯ってそういう場なんですよね。だからこの銭湯も、前の道を通る小学生からご近所の方まで、“世代を超えた交流ができる場”にしていけたら」

“人が交わる”ということから空間を組み立てる

銭湯の上には、2階に休憩所とカフェ、そしてコワーキングスペースを兼ねたコミュニティースペースが設けられ、3階以上は銭湯カルチャーに共感してもらえる人に向けたオフィスやスタジオ、住居(マンスリー含む)等になる予定。(居住者には「銭湯入り放題」というなんとも魅惑的な特典も予定されているとか。乞うご期待)

「地元の人に愛されてきた銭湯を軸に、金沢を訪れる“外の人”も自然と混ざり合う、そんなコミュニティ形成の場をここで実現したいと考えています。だから、“デザインの斬新さ”というよりも、コミュニティへの考え方だとか、“人が交わる場”という前提から空間を組み立ててくださる方に建築設計をお願いしました。外観も、異質なものでなく、歴史あるこの街並みに自然と馴染むようなものにしたいと考えました(山家さん)」

エントランス前にはアーチ状のベンチスペースが設けられる予定で、街を行き交う人たちが休憩したりと交流を促すようなアフォーダンスがなされています。

“地元産業とのコラボレーションと、懐かしの薪炊き風呂

九谷焼のタイル絵のイメージ図。

そして、「これは絶対に実現させたかった」とエイジェーインターブリッジのお二人が強調するのは、この銭湯の目玉ともなる“九谷焼タイル絵の富士山”。

「場を作る上で“その地域の良さを表現する”というのは、いつも僕らが大事にしていることです。だから今回も地元の産業とコラボレーションしたいと考えました。金沢で銭湯をやるなら、やはりタイル絵は“九谷焼”しかないだろうと。(新木さん)」

女湯のイメージ図

そして銭湯を語る上で外せない「お湯」を沸かすのは、昔ながらの「薪」。薪は火の管理に労力がかかるため、重油で沸かす銭湯が年々増える中、あえての薪で沸かすことにこだわったそう。

「松の湯さんが元々薪でお湯を沸かされていたというお話をうかがって。その後重油に換えられたそうですが、今改めて復活するなら薪でやりたいなと。あと、薪には廃材や端材を使うので、二酸化炭素の排出量が下がるということも大きな理由の一つです。今の時代、事業をする上で環境への配慮は欠かせませんから。(山家さん)」

銭湯は鞍月用水が流れる「せせらぎ通り」沿いにあります。

「歴史があるこんな素晴らしい場所で、銭湯をやらせてもらえることって、多分もう二度とないと思うんです。だからこそ、やれることは、できる限り実現させたい」と意気込む山家さん。九谷焼タイルを実現されるために、現在クラウドランディングにも挑戦されています。(ご興味を持たれた方、ぜひこちらからのご支援を)

銭湯の前を流れるせせらぎのように、さまざまな人の流れが生まれそうなこのプロジェクト。完成は今年11月の予定だそうで、待ち遠しい限り。ビジネスフロアや、レジデンスフロアの募集は金沢R不動産で担当させていただくので、どうぞお楽しみに!

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