【6/26内覧会開催】〜P.S.「井波のスゴイやつ」が、スゴイやつになりました〜

金沢R不動産のサイトで「井波のスゴイやつ」というタイトルでご紹介していた富山県南砺市井波の物件。この度大規模なリノベーションを経て、新たに旅館として生まれ変わりました。7月のオープンを前に、予約制での内覧会を開催します。
（※内覧会情報は記事末の情報欄にてご確認ください）

※内覧会は終了いたしました。ご参加ありがとうございました。

7月にオープンする「越中井波 町屋旅館 古香里庵」。外観正面はほぼ当時のまま。

正直、物件掲載依頼のお電話をいただいた当初は、お断りしようかとも思っていたんです。
なぜなら物件の住所は、お隣・富山県の南砺市井波。金沢R不動産では県外物件はあまり掲載してこなかった経緯もあり、お役に立てるかどうか、という思いもありました。
ただ、依頼をくださったオーナーは元々お世話になっている方だったので「では、一度拝見するだけでも…」と現地を訪れたのがすべての始まりでした。

リノベーション後の旅館のエントランス。

バースペース。

金沢大学方面から県道27号を通って車で30分。金沢からひと山を越えた途端に田畑が広がり、かと思えば市街地に入ると瑞泉寺の門前町として栄えた街並みには風格ある木造建築が連なっていました。金沢から30分という意外な距離感にある別世界に「なんだ、この街は…！」と衝撃を受けたのを鮮明に覚えています。

井波の街並み。

リノベーション前の物件の様子。

そんな街並みの一角に堂々たる風格で佇んでいたのが今回の町家です。間口いっぱいに並ぶガラス戸が解放されていて、まるで迎え入れられるようにスッと建物に入っていけました。
井波の町家には「京町家」の様式が見られます。それには藩政期、火災に遭った「瑞泉寺」再建のために京都より彫刻師や大工が招聘（しょうへい）されたという歴史が関連しているといわれます。まさしくこの町家もそうで、金沢の町家とはまた違った、がっちり堅牢なつくり。どこか無骨な雰囲気にも魅了されました。つくりの丁寧さから当時の棟梁のことを調べていくと築地本願寺（大好きなんです、私）の建設にも携わった名匠だということがわかり納得した次第。

改修前の土間。

サイト掲載当時。

町家自体のポテンシャル、そして井波という街の世界観。このとき受けた感動をそのままに、「井波のスゴイやつ」と名付けて物件を掲載することになりました。（金沢からの距離感もかなりポイントではありました）
北陸の観光地筆頭である「金沢―五箇山」の中間地点としての可能性も秘めた井波の物件ということもあり、当時たくさんのお問い合わせをいただきました。今回かなり規模の大きい町家でしたので（土蔵も2つ！）、最終的に旅館として利用されることになりました。

中庭もそのまま引き継いでいます。

客室の一室。

また、宿へのリノベーション設計も弊社（E.N.N.の設計部「studio KOZ.」）で担当させていただいています。今回のケースは、住居から宿泊施設の用途変更があること、また面積200㎡超という案件だったので行政への申請が必要になってきます。
そのため厳しい法規の制限をクリアしながらも、既存のまま表現できるものにはできる限り手を加えないギリギリのラインを検討した結果、最終的にかなり大規模なリノベーションとなりました。（なんと、担当建築士も井波の出身。看板も井波彫刻師であるお父様に彫っていただいてます。これもご縁ですね。旅館設計についての記事は こちら ）
もとの町家のぼくとつとした印象を生かしながら、町家特有の“暗さ”も魅力として感じられるような空間デザインになっています。ぜひ現地で体感いただけたら。

土蔵と母屋を結ぶ渡り廊下（左）とリノベーション後の「通り庭」（右）。

今回の内覧会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、時間帯ごとに人数制限を設けた予約制とさせていただいております。ご興味のある方は下記の問い合わせフォームよりご予約ください。